夢や未来の意義ある事業も、利益がなければ続けられない
私はコンサルタント時代には中小企業向けのセミナーで「夢とそろばん」という言葉をよく使って講演をしてきました。
『夢』:起業するには企業理念
『そろばん』:企業活動を続ける為の実利
どちらも必要です。
人が生きる社会で存在意義のある活動をする場所を企業とすると、農業もまた企業です。
そして農業には「夢」も「そろばん」もほぼない状態が以下の事柄から見えてきました。
● 出荷された農産品はいくらで買われるのかわからない(市場の価格に流される)
● 栽培方法や規格を一方的に決められる
● 組合員はNOといえない中で大事なことが決められる(納期・各種導入機器など)
● いつ、いくら振り込まるかわからない
● お客様からの意見が聞こえない
自分達が作った農産品がどう評価されているかわからないという事が一番問題なのです。
これは、最近よく耳にする「農家のためのJAではなく、JAのための農家」そのものを表しています。
現実は年金や補助金があることで成り立っている今の農家。
そして、痴呆防止と体を動かすためだけに行っている農業。
その様子を自分の将来として見ている次の世代は、自活不可能で家庭を持つのが困難な「農業」に夢を持てずに離れて行くのは当然で、結果生きることの根底である『食』に最も関係が深い農業が急速に衰退する結果を生み出している。
この現実を変えるためにぽんぽこらんどが農家の方々に安心して営農を続けるために大きく2つのことを取り組んでいます。
1つは営農として持続可能な対価をお支払いすること。
農家さんは対価分以上の農産品を作ることに専念し、私たちはその真面目さに適切な金額と敬意を払うことで、お互いを支え合って生きていきます。
そしてもう一つ、とても大事なこと。
お客様の意見をしっかり聞き、農家さんにフィードバックすることで、しっかりとしたやりがいと必要性を感じてもらい、次世代の農業を共に考えていきます。
真面目さが対価になっていない農業界を見て、その原因を考え、私ができる改善を続けてきた結果、今は農家さんの意識に変化が起こせる可能性を感じています。
反面、いいものを作り続けられる環境を育てるのは農家さんではなく実は消費者だということ。嘘のない商品を購入することは真面目な農家さんに対する実質的な応援であり、それは消費者自身が安心できる「食」への未来への投資になっていくのです。
こんな時代の中、ぽんぽこらんどは農家の自信と消費者の安心の双方を紡ぐというコンセプトがゆっくりと出来上がっていきました。